やさしい介護学

12年間の介護職体験談を思いのままに綴ります。

利用者さんが入院と手術を断られた時の話

入院と手術の限界とは???

 老人保健施設に働き始めて6年が経った頃、ある80代後半の男性利用者さんより、「目が見えにくい」という訴えがあり、精密検査の受けたところ【老人性の白内障】という診断が下されました。

 

 老人性白内障とは、目の水晶体が白く濁り、視力低下を招く病気です。原因は不明で、時期がずれても両目に発症するようです。治療方法は、薬では治らないため手術をする必要があります。というか、手術以外の方法はないようです。

 

 当施設には、整形外科、内科はありましたが、眼科はなかったので、近くの眼科のある協力病院に一度入院して手術を受ける必要がありました。

 

 ご本人に確認すると「手術を受けたい」と、明確な意思表示がありました。年齢的なこともあり、ご家族の方と相談した結果、「目が見えなくなるのは不便でしょうし、手術をして治るのであれば、本人の希望を汲み取って受けさせてほしい」とのことで、手術を受けることになりました。

 

入院は5日間で、

●1日目→精密検査

●2日目→手術

●3~5日目→術後の経過観察(合併症などがないか調べるようです)

という流れだったと思います。

ただ一つだけ、問題がありました!というか、大問題です!

【不穏になると、暴力行為のある方】だったのです。

 耳が悪いこともあり、他の利用者とは全く交流はなかったのですが、普段は物静かで、1人でリビングスペースや食堂で、新聞やTVを見て過ごすことが多い方でした。ただ、アルツハイマー型の認知症を抱えており、何か気に入らないことや不安や恐怖を感じた時など、不穏になる時がしばしばあったのです。

 

 一度不穏のスイッチが入ってしまうと、男女関係なく殴る蹴るの暴力をふるってきます。身体つきも大柄で、元軍人ということもあり、とにかく怒ったら怖いのなんの!!!「きさま~、何者じゃ~!!!」と、戦争中にフラッシュバックしたかのような発言や暴力に発展することがあるため、スタッフ数人で対応することもしばしば。

 

 一番最悪だったのは、おむつ交換の際、おむつ内に便が出ていたので、交換しようととした時、まさかの不穏のスイッチが入ってしまい、大量に便の付着したオムツを顔面めがけて放り投げられ、身体中、便まみれになったことがありました💦 まさに悪夢のようでした(-_-;)💦

 

 という利用者さんだったので、一抹の不安を抱きながら、眼科のある協力病院へ送り出したのでした。その結果は・・・?

 

入院後にすぐTELあり

 入院後1日目は精密検査があります。老人性白内障の手術は水晶体を除去して、水晶体の代わりにレンズを入れる治療法です。老人性と言えども、コンタクトレンズの様に、近視や遠視などの視力の矯正もできるようなので、当然本人に合ったレンズを入れることになるため、精密検査が必要になるわけです。

 

 そこで事件は起きました!精密検査がよほど怖かったのでしょう!検査が始まるや否や、検査員に暴力をふるいだし、精密検査を受ける状態ではなくなったようです。要望を伝えたくても耳が悪いし、興奮している時に文字で訴えてもなかなか受け入れてくれない、検査員の指示が全く入らない状況になり、お手上げという事になったようです。

 

 その結果、検査はできないし、当然手術なんてできるはずはなく、入院拒否、手術拒否ということになり、入院初日のその日のうちに、施設に帰って来られました(笑)!目は白濁したままで、見えにくい状況ということを考えると少しお気の毒ですが、その後の人生を送ることになりました!

 

 そこで教訓、【できれば認知症になる前に、目の病気は治しておく方が良いです】

 

※ちなみに、緑内障は白内障と全く違う目の病気です。眼圧が上がることで視神経に障害が起こり、視野が欠けて狭くなる病気です。いずれにせよ、高齢者の目の病気は、早めの専門医の受診をお勧めいたします!

 

 

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