やさしい介護学

12年間の介護職体験談を思いのままに綴ります。

動きったきり老人?に苦戦した話

寝たきり老人よりも大変な、動きったきり老人

 利用者さんには色々なタイプの方がおられます。軽度の認知症や障害を持たれた方はケアスタッフの介助をほとんど必要としない、自立型の方がおおいですね。介護度でいうと、要支援~要介護1・2くらいの方。こういう方は、コミュニケーションも特に問題なく取ることができます。

 

 逆に重度の障害や認知症状を患っている方は、スタッフの介助または介入の必要性が多くなってきます。寝たきりの利用者さんだと、食事、排泄、入浴だけでも相当な援助が必要になってきます。ただ、ある程度計画的に行動しやすいことが多いので、それほどストレスを感じることなく、ケアを行うことができます。

 

 今まで一番苦労?というか苦戦してきたタイプの利用者さんは【行動的認知症】とでも言いましょうか?とにかく寝たきりではなく、動きったきりのタイプです(勝手に作ったことばです(笑)!)。経験談を2つご紹介します。

 

夕方になると家に帰ると言い出す方の例

 上島さん(仮名)という80代のおじいさんは、夕方になると「もうそろそろ家に帰ります。」と言い、帰宅準備をして、出て行こうとする方がいました。色白で、とてもやさしくて、決して怒ったりしない物腰の柔らかい方でした。

 

 毎日にように帰宅願望の申し出がある方で、その都度スタッフが入れ代わり立ち代わり対応して「晩御飯を食べてからにしましょう!」「バスはもう終わったので、明日にしましょう!」など、なんとかその場をやり過ごしていました。その都度しぶしぶ納得してくれていましたが・・・。

 

 ある朝8時ごろ、ちょうど僕が夜勤明けの勤務中の出来事です。あるスタッフが絶叫!「上島さんが消えた!」全フロアを探してもいません。スタッフ全員でベランダ、食堂、浴室あらゆる所を探しまくりましたが、見当たりません!いよいよまさかの【無断外出】いやいや【脱走】といってもいいかもしれません!

 

 そんなことを考えていると、スタッフから1本の電話がありました。「今、上島さんと一緒にいます。出勤途中、駅に向かって歩いてるところを発見しました。今から一緒に施設に向かいます。」とのこと。何という幸運!胸をなでおろしました。

 

 その後、スタッフ間で、何故上島さんに帰宅願望があるのかを話し合った結果、今いる施設やスタッフに対して、

●落ち着くことができない

●自分が自分らしく生活できない

●自分の気持ちを受け止めてくれない

という意見が出ました。その後、なるべく否定的な言葉を使わずに、寄り添った言葉がけをすることで、少しづつですが、家へ帰りたいという言葉が減ってきました。

 

究極の睡眠障害の例

 寝ない方は困ります(笑)!睡眠障害の方には色々出合いましたが、たぶんこの方が振り切った状態でしょう?!

 

 長田さんという90代のかわいいおばあちゃんです。足が不自由で車椅子を使用する方で、いつもニコニコしており、何を言っても絶対に怒りません(笑)!「ハイハイ、わかりました。」がいつもの口癖です。そんなかわいい長田さんも、段々と認知症状が進んで行き、寝つきが悪くなってきました。

 

 高齢になると、若い時に比べて睡眠が浅くなったり夜中に目覚める回数が増えることはよくあると思いますが、高齢+認知症になると、寝つきが悪くなり、不眠になったりします。さらに、夜間に活動的になったりします。

 

 このようなことは介護施設ではよくある事なので、ある程度の対応策というかノーハウ?はあるので、当然色々試しました。

●日中の活動量、運動量を増やし、昼寝は極力避ける

●カフェイン入りの飲料は飲まない

●就寝環境を調える(室内温度、湿度、部屋の照明など・・・)

●アロマでリラックスしてもらう

●定期的に家族に来てもらい、精神的な不安を取り除く

 

 とにかくできることは全てと言ってもいいくらいやりましたが、全く効きませんでした。全くです。それどころか、日に日に悪化してきました。夜、ベッドへ誘導し、臥床を促すも、数分・・・いや、数秒でむくっと起きてきます。

 

 足が不自由なため車椅子ごと詰所でスタッフと過ごすことが多くなり、その間ず~っとスタッフにしゃべりかけてきます(笑)。「仕事中なので、少し静かにして下さい!」と言っても、数秒後には、しゃべりかけてきます。とにかく、24時間不眠でしゃべり続けるのです。長田さん本人も相当疲れていて気の毒に思いましたが、正直これには参りました!

最後の手段?!

 足が不自由ですが、立とうとするので、目が離せません。何度も転倒し骨折もしています。ですが、他にも利用者さんがいますので、付きっ切りにも限界があります。そこで、ドクターに相談すると、睡眠導入剤が処方されました。これで寝てくれるかな?と思いましたが、全く効かない(笑)!少しは寝るのですが、数分後にはむくっと起きてきます。もう万事休すか?と思いました。

 

 でっ、本当に寝ないので、長田さんの様子がおかしくなってきたんですね!表情は険しくなり、怒りっぽくなり、しゃべり続けるんですが、呂律が回らない、唾液を垂れ流しながらしゃべりつづけるようになり、これは本当に命にかかわるほど危険と判断され、最強の睡眠薬を処方されました。その結果どうなったと思いますか?

【2日間寝続けました!】

 2日間1回も起きずに、寝続けたんです。死ぬと思いましたよ(笑)!その後薬の微調整を行い、何とか夜に睡眠をとれるようになりましたが、ストレスを感じる事例でした。

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