やさしい介護学

12年間の介護職体験談を思いのままに綴ります。

本当にあった怖い話 その2

番外編 現代版 エクソシスト

 今回も、前回に引き続いて、現在勤務している施設で起こっている怖い話というか不思議な話をご紹介します。ただ、前回と違うところは、【起きた話】ではなく、【現在も起きている話】であり、現在進行中であるということです。なので、これからどうなるか、少々不安な部分もありますが、現時点でお話しできることをお伝えしたいと思います(笑)!

 

 介護棟に、85歳の石原節子さん(仮名)というとても清楚で上品なおばあちゃんがいます。

 

 節子さんの特徴は、両足が思うように動かないため、移動は車椅子を使用しています。聴力が弱いため、両耳に補聴器をしていますが、とても頭が良くて、冗談好きで、しっかりした口調でお話もできます。多少物忘れをすることはありますが、認知症の症状は全くなく、いつもにこにこしている元気なおばあちゃんです。

 

 基本的に自分でできることは全て自分でしますが、車椅子に移乗するときなど、出来ないことはナースコールを押してスタッフを呼びます。

 

 例えば、ナースコールで呼ばれたスタッフが節子さんを訪室すると、「わざわざお呼び立てして申し訳ありません。おトイレに連れていってほしいんですが、よろしいですか?」といった具合に、誰に対してもとても丁寧でやさしい言葉がけをして下さる方なのです。

 

 そんな誰からも愛されるキャラクターの節子さんのことを我々スタッフは、【仏の節子さん】と呼んでいます。

 

 しかし、そんな神様のような節子さんに、異常事態が起きたのです!

 

一体、何が起きたというのか?!

 昼食の用意ができたため、順番に利用者さんを食堂へ案内していたときのことです。後輩の男性スタッフが、節子さんを呼びに行くと、顔色を変えて戻ってくるではありませんか!

 

僕:「どうしたんですか?」 と聞くと、

 

スタッフ:「あの~、節子さんがおかしいです!口調も態度も、いつもの節子さんではないんですよ!

 

僕:「はっ???どういうこと???」

 

スタッフ:「とりあえず、来てください!」

 

ということで急いで訪室すると、険しい顔つき、鋭い目つきでこちらを睨んでいます。確かにいつもの【仏の節子さん】とは別人です。

 

節子さん:「何の用じゃ。出ていけ!」

 

僕:「(かなりびっくり!!!)節子さん、お食事の時間なので、食堂までご案内しようかと思いまして・・・」

 

節子さん:「飯なんかいらん!はよ出ていけ!」

 

僕:(車椅子を用意し、恐る恐る近づいて)「さあこれに乗っていきましょう!」

 

節子さん:「だから飯は食わん!近づくな!出ていけっっっ!!!」

叫びながら殴りかかってくるではありませんか!しかも両足でしっか立って!

 

 これは異常事態発生です。もはや【仏の節子】ではありません!豹変しています。スタッフを変えて対応しますが豹変したままです。その後すぐに直属の上司である主任を呼んで状況を説明し対応してもらおうとしましたが、同じように暴言と暴力が収まりません。その後も看護部長、施設長、ドクターが駆けつけましたが、どうすることもできません。まさにお手上げ状態です。

 

 しばらく時間をおいて訪室するも、やはり同じように暴言と暴力を繰り返すばかりで、まともにお話しすることもできませんでした。結局その日は、昼食、夕食を食べないまま、よほど暴れて疲れたのか、ベッドに転がるように寝てしまいました。

 

 いよいよどうすることもできないまま、今後のことをスタッフ間で話し合いました。

悪霊が憑依(ひょうい)した?

 色んな意見やアイデアが出たものの、決定的な対応策が出ず、万事休すか?と皆途方に暮れていた時、あるスタッフが、「あの豹変ぶりは、悪霊がのり移ったとしか思えない!悪魔払いでもしましょうか?」と、突拍子もないことを言いだすスタッフが現れました。

 

 僕を含めほとんどのスタッフは半分冗談で言っていると思っていたのですが、結構真剣に【悪霊が乗り移っている説】にこだわります(笑)。「じゃ~、他に対応策がないので、やってみるか!」ということで、悪魔祓いをすることになりました。その方法とは、【盛り塩】です。

 

盛り塩、その効果は?

 やり方は簡単です。小さめの平らな白いお皿に塩を盛り、山の形、あるいは三角錐の形に整えます。同じものを4つ作り、部屋の4隅に設置すれば盛り塩による結界の完成です。塩は調理場から分けてもらったので、タダ同然で作ることができました。寝ている節子さんに見つからないように、そ~っと部屋の4隅に設置し、祈るような気持ちで、朝起きるのを待ちました。

 

 翌朝を迎え、節子さんの部屋を訪室すると、

 

節子さん:「おはようございます。今日も何かとお面倒お掛けしますが、どうぞよろしゅうお願いします。(頭をぺこり m(__)m )」

 

スタッフ:(おおっ奇跡?)「おはようございます!大丈夫ですか?昨日のこと覚えていますか?」

 

節子さん:「何かありましたかいな?覚えてませんが・・・?」

 

スタッフ:「いやっ、何もありません。いいんです。何かあったら、呼んでくださいね!」

という具合で、【仏の節子さん】に戻っていたのです!本当に皆びっくりです!昨日の豹変ぶりは何だったのだろう??? たまたまかな?ひょっとして、盛り塩の効果が表れたのかな?その時は皆、半信半疑で何がどうなって元に戻ったか、わかりませんでした。

 

 しかし、その1週間後、再び節子さんが豹変し、暴言暴力が収まらなくなりました。

 

 盛り塩効果は本物?!

 やっぱり【盛り塩】は偶然効いたように感じただけだったのか?と落胆していたところ、スタッフの1人があることに気付きました。それは、【盛り塩が2つ崩れている!】スタッフ間は盛り塩に関して情報を共有していましたが、掃除係の方まで行き届いてはおらず、崩してしまったよです。

 

 すぐに元の三角錐に形を整え設置すると、どうでしょう!元の【仏の節子さん】に戻ったではありませんか!!! 盛り塩は本物だったのです。皆、疑問から確信へと変わった瞬間です。

 

 それ以後、さらに盛り塩に関して研究し、今は週1回綺麗なものに交換し、部屋に出入りする関係者と情報を共有することにより、【仏の節子さん】は、豹変することなく、現在に至ります。まさに現代版のエクソシストのような体験でした。

 

 皆さんも、もし利用者さんが豹変するようなことがあれば、ぜひお試しください!