やさしい介護学

12年間の介護職体験談と今伝えたいことを思いのままに綴ります。

入浴介助 初体験

     3日目 入浴日

 初日と2日目のショックを引きずったまま、何とか3日目を迎える事ができました。

この日、指導してくれる先輩介護士は、少し年下の男性でした。今日の業務予定を聞くと、「今日は1日お風呂。午前・午後と分けて、60人入れるよ。体力勝負やから頑張って!」とのこと。

 

 さらに詳しく聞くと、午前中に約40人、午後に約20人入れる予定で、午前中に40人、入れそうになかったら、午後に回すというシステムでした。入浴初日ということもあり、60人が多いのか少ないのか、全く想像すらできなかったため、とにかく先輩に付いていき、言われることを確実にこなしていくことにしました。

     バイタル測定

 まず入浴前に、各患者さんの体温、血圧、脈拍、呼吸数、意識状態を測定したり確認することで、身体状況を把握します。これをバイタル測定と言います。

 

 この時点で、いつもより体温や血圧が高かったり、なんだかの異常が見られた時、また見た感じいつもと様子がおかしいと感じたら、看護師へ報告し、看護師でも判断できない場合は、医師へ相談後、入浴できるかどうかを決定します。

 

 バイタル測定後、異常が見当たらない患者さんを浴室へ誘導していく必要があります。ここは3階の介護病棟で、浴室は1階にあります。寝たきりの患者さんはストレッチャーという体を横にしたまま患者さんを移動させる、車輪付きの簡易ベッドを使って、エレベーターに乗って1階の浴室まで誘導します。

 

     体力勝負の送迎部隊?

 さて、この入浴介助方法ですが、結果的に言うと、かなりしんどかったです。入浴方法、入浴体制及び、勤務体制を説明しますね。 

 

 各施設によって、多少ばらつきはあるかと思いますが、お風呂の種類はだいたい3タイプに分けられると思います。

 

①個浴=一般的な家庭にあるお風呂。

②機械浴(中間浴)=入浴用車椅子での車椅子に座った状態で入るもの。

③特別浴=寝台浴、寝たきりの方がストレッチャータイプのものに寝たまま入るもの。

 

当施設では、①の個浴は使用しておらず、②と③のタイプを使用していました。

 

 病室⇔浴室への移動介助(送迎部隊と呼ばれていました)は、2人で行います。午前中、40人入れるとなると、2人で40往復です。ということは、

病室→ストレッチャー→浴室→ストレッチャー→病室

という作業を、40回行うことになります。

 

 午前中といっても、9:00~12:00の3時間に40人の入浴介助を終わらせないといけないので、体力と時間の勝負になります。いかに効率的に動くかがポイントです。

 

     入浴介助は流れ作業?

 1階の浴室には、洗身洗髪など、患者さんの身体を洗うスタッフが3名いて、その中に必ず1名、看護師の方がいました。おそらく、浴室の事故が起きた時のことや法的なことも含まれていたからだと思います。

 

 浴室へ誘導された患者さんは、その方の身体的な状態により、中間浴か特殊浴に分けられていきます。各機械への移乗が終わると、洗身担当のスタッフが身体を洗っていきます。約2~3分ほど洗身介助を行ってから、お湯につかります。だいたい3~5分で終了です。入浴開始から終了まで、約8分ほどで元の病室へ誘導という流れになります。

 

 入浴といえば、湯船につかって、身体をゆっくりと温め、血行を良くし、疲れを取って、疲労回復を促進するためのものであると思っていましたが、この日見た入浴介助の様子は、限られている時間内に、目立った汚れを洗い落とし、冷め切った身体を急速に温め、温め終わるとすぐに次の患者さんを誘導するという、まさに流れ作業のように見えました。

 

 確かに、ゆっくりと患者さんと向き合い、時間を使って楽しんでもらいながら介助していると、午前中で40人は不可能なように感じました。ただ、「これが入浴なの・・・?」と、心の奥で、またもや叫んでいるのでした・・・。